村上春樹の小説『ダンス・ダンス・ダンス』を読み終えました。
記録としてここに感想を残しておこうと思います。
この作品の魅力は、主人公がきっちりと、丁寧に日常を送っているその最中に、ふとした拍子で不思議な物語の世界へと巻き込まれていくところにあります。まぁ村上作品のアルアルなんですが。
現実とフィクションの境界があいまいに混ざり合い、気づけば読者もその曖昧さの中に取り込まれているような、そんな感覚かな。
いつもそうですが、その文体や語り口には、なんとも言えないリズムがあって、「よくわからないけど、なんだかクセになる」。まさに“村上ワールド”ですね。
物語の概要
村上春樹の小説『ダンス・ダンス・ダンス』は、『羊をめぐる冒険』の続編にあたる物語です。
かつての恋人との記憶が残る「ドルフィン・ホテル」が夢に現れ、再びその場所を訪れた主人公の「僕」は、不思議な少女ユキや、“羊男”といった個性的な人物と出会いながら、次第に過去と向き合い、社会とのつながりを取り戻していきます。
物語の中では、失踪した恋人の謎や、人の死といったミステリアスな要素もありつつ、全体を通して語られるのは、「わからなくても、踊り続けること」。
「You’ve got to dance. Just keep on dancing.」──
現実が混沌としていても、日常というステップを踏み続けることが、人生を前へと運んでくれるのだというメッセージが込められています。
どこに向かっているのかわからなくても
この小説の主人公は、人生のどこに向かっているのか自分でもよくわかっていないです。
それでも、彼は「日常の生活を丁寧に送る」ことを繰り返し、「ステップを踏み続ける」ことをやめません。
その姿勢に、僕はなんだか親近感を覚えたんですよね。
僕自身は?
ニュージラーランドが長くなりましたが、僕も今大きな目線で見ると、旅をしながら生活しています。
行き先が明確に決まっているわけでもないし、何か大きな目標に向かって突き進んでいるわけでもないです。
でもその中で、日々掃除をして、洗濯をして、目の前の小さな仕事をひとつずつ片付けていく。PCでのリモートでの仕事もそうです。
朝の散歩やランニング、本を読む時間を大切にする。ベッド布団を綺麗に畳む。顔を洗う。料理を丁寧に作る。きれいに効率よく織機を洗って拭いて棚にしまうこと。薪を丁寧にくべてからゆっくりと火をおこし、真に火がついたら、空気高を絞ること。
1つ1つの動作が日常というダンスのステップなんだと思います。
これからも、丁寧にステップを踏み続ける
どこに向かっているのかはわからないですが、
丁寧に日常を重ねていくことでしか見えてこない景色があることも、きっと事実だと思います。
『ダンス・ダンス・ダンス』は、そんな「生き方のリズム」について考えさせてくれる小説です。
これからも僕は、旅の中で、静かに、丁寧に、ステップを踏み続けていこうと思います。
ぜひ次に何を読もうかな?
と迷っている方はこの長編小説をお勧めします!
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